インタビュー記事
ずっと看護師として働き続けるために。「あなた」と向き合って、成長を支えます。
投稿:2024-06-28更新:2024-06-28
看護師が気になる病院の実態を看護部長が本音で語る、看護部長インタビュー。初回となる今回は、医療法人 渓和会 江別病院の看護部長にお話を伺いました。患者様に寄り添う看護の実践職員への思いなどをご紹介します。
医療法人 渓和会 江別病院 看護部長
市戸 理恵
公立病院、民間病院にて、看護管理(看護師長・看護部長職)を10年経験後、現在の渓和会江別病院に2020年10月に赴任する。2021年6月より現職に就く。
公立病院にて副看護師長を経験した頃から人材育成や看護教育に興味を持ち、現在も病院で勤務しながら看護学校の非常勤講師を担っている。その中で看護師として働き続けるためには職場環境が重要であると感じ、改めて看護管理を学び、2021年12月に認定看護管理者を取得した。
これまでの歩み
――看護師という職業を選び、これまで続けているのにはどのような背景があるのでしょうか??
きっかけは単純でした。ほかの学校に比べて看護学校の入学試験が早く、「いち早く受験勉強が終わる!」と思ったからです。自分の学力に対してハードルはかなり高かったのですが、必死に受験勉強を頑張って、なんとか看護学校に合格できました。
ただ、動機が動機だったので、看護師を生涯続けたいという気持ちはなく、入学後はどこか身の入らない部分がありました。そんなとき、看護学校に入って初めてのテストで赤点を取ったんですよね。私はそれまで無頓着な性格で、赤点でも「まあいっか」と思うタイプだったのですが、そのときだけは違って、ここで頑張らないと元の自分に戻ってしまうかもしれないと思ったんです。努力して看護学校に入学できたのに、ここで手を抜くと、私の人生また同じことの繰り返しだなって。それからはもう二度と赤点を取らないように、熱心に勉強するようになりました。このときの自分を変えた経験が、現在まで看護師を続けていることにも繋がっている気がします。
――江別病院に入職した理由を教えてください。
理由は二つあって、江別病院が掲げる理念に共感したというのが一つ目の理由です。当院の理念は「公正、向上心、信頼の心、安心」ですが、特に「向上心」という言葉に私の目指す看護師像が重なったんです。当時看護管理者として10年以上のキャリアを積んでいましたが、まだまだ学び続けたいという想いがある中で、面接で院長に「理念にもある通り、学び続けたいという想いがある人は止めないよ」と言われたのが決め手でした。
院長からかけていただいた言葉からも分かる通り、理念を理念で終わらせていないところが、江別病院に入職を決めたもう一つの理由です。理念が形だけになってしまっている病院は多いのですが、理事長や院長をはじめとする当院の管理職は、理念を行動まで結びつけているところが非常に魅力的でした。この病院だったら、私が大切にしている想いを、医師や看護師を含む病院スタッフ全員で実現できるかもしれないと、そう思いました。
看護の考え方について
ーー看護で大切にしていることはありますか?
「目の前の患者に寄り添える感性と心」を大切にしています。これは私が看護方針に基づいて定めたアクションプランの一つで、ただの業務として日々看護を行うのではなく、看護行為一つ一つに目的を持ってほしいという思いが込められています。
例えば環境整備なんかは看護学校時代から毎日繰り返している業務なので、正直やりがいを感じにくく、「これ看護師がやる仕事かな?」と感じることもあると思うんです。でも患者さんの立場になって考えてみると、環境整備にもさまざまな目的があることに気づくはずです。人前に出るときは身だしなみを整えたい、周囲を綺麗にしていたいという患者さんの気持ちに応えるためだったり、患者さんが自分から離れた場所に置いてある物を取ろうとして転落してしまうのを防ぐためだったり。患者さんに寄り添う感性と心を持って初めて、そういった日々の看護行為の意味に気づくんですよね。「看護計画に書いてあるからやらなきゃ」ではなく、「自分の看護が患者さんの安全や快適につながるからやろう」。どんな業務でもこの考え方ができるようになれば、患者さんにとって良いだけでなく、自分自身も看護にやりがいを持って看護師を長く続けられるのではないかと思っています。
職員への思い
ーー看護部長として、江別病院でどのようなことに取り組みましたか?
医師と看護師がうまくコミュニケーションを取れることを目指して、さまざまな取り組みを行いました。医師と看護師のすれ違いって、医療の現場ではよくあることですよね。それが原因で離職を考えている看護師も多いと思います。
当院も私が赴任したときの関係は正直良好とは言えませんでした。しかしそのままでは職場環境は悪化する一方ですし、患者さんにも良い看護を提供できないと思い、改革に踏み切りました。まず双方に話を聞くと、医師は「看護師に頼ることができないから、一方的な物言いをせざるを得ない」、看護師は「医師が意見を聞き入れようとしないから、萎縮して発言ができない」と、それぞれの言い分がありました。そこで看護部長として、看護師の教育と医師とのコミュニケーション方法の改善に取り組んだんです。看護師が医師の指示に従うだけでなく、自分で考えて行動できるように教育制度を整え、医師は論理的に会話がしたいので、感情的になるのを抑えて言いたいことが確実に伝わるコミュニケーション方法を模索しました。その成果もあって、今では医師と看護師がお互いを頼り合って、医療を届けるための1つのチームとして機能してきているなと感じます。
ーーどんな看護部を目指していますか?
一人一人が柔軟に考えて行動してチャレンジすることで、組織として成長する。そんな看護部を目指しています。私自身、新人時代は周囲のサポートに恵まれ、やりたいことに思う存分取り組めました。その経験が今に繋がっていると感じているので、スタッフにも同じ経験をしてもらいたいんです。看護部長として、看護師が「やりたくてもできない」ということがないように働き方をサポートしたり、「言いたくても言えない」ということがないように年次に関わらず柔軟な発想を吸い上げたり、スタッフが行動や思考を諦めなくて良い環境を整えていきたいと思っています。
入職を考えている方へ
――入職を考えている方へメッセージをお願いします。
柔軟に考えられる人、チャレンジ精神のある人、そして看護にやりがいをもって働いている人と一緒に働きたいと思っています。技術や知識がなくても、「向上心」を持っていることが大切です。家庭との両立や、看護師としてのキャリアで悩む方は、まず一度お互い本音で、隠し事なしで、お話をさせてください。看護部長である前に、人生の先輩として、あなたらしい働き方について一緒に考えていきたいと思っています。
この記事の病院
医療法人 渓和会 江別病院の基本情報
所在地 | 〒069-0817 北海道江別市野幌代々木町81-6 |
---|---|
最寄駅 | JR函館本線 野幌 |
業種 | 病院 |
診療科目 | 内科 呼吸器科 消化器科 循環器科 外科 整形外科 脳神経外科 肛門科 放射線科 リハビリテーション科 麻酔科 小児外科 |